形態学的研究
病理学の基本は形態学です。形態学的研究に必要な機器はひと通り設置してあります。
当教室で行った、三重免疫染色の写真です。1種類の神経細胞系マーカー(青)と2種類のグリア細胞系マーカー(赤、および茶)を使用しており、腫瘍細胞に神経細胞とグリア細胞の両方の性質があることを示しています。
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病理学の基本は形態学です。形態学的研究に必要な機器はひと通り設置してあります。
当教室で行った、三重免疫染色の写真です。1種類の神経細胞系マーカー(青)と2種類のグリア細胞系マーカー(赤、および茶)を使用しており、腫瘍細胞に神経細胞とグリア細胞の両方の性質があることを示しています。
分子遺伝学的研究に必要な装置も基本的なものは教室内に設置されています。実験室はP1レベルの遺伝子実験に対応しています。
病理診断はヘマトキシリン-エオジン染色標本の所見観察を第一とし、さらに免疫組織化学を組み合わせることを基本とします。これらの標本はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から作製しますが、分子遺伝学的研究においても、われわれは主にFFPE組織を利用しています。凍結生材料と比較して、FFPE組織から精製されたDNA、RNAは著しく断片化されていたり、分子間のクロスリンクが見られることなどが問題となりますが、最近ではそれらの性質を考慮した特異的なプロトコールの開発により、さまざまな解析を行うことができます。FFPE組織を利用する最大のメリットは、病理組織学的な裏付けがある特定の領域を対象とした解析を行えるということです。
一つの組織標本内で異なった組織像を示すA-Cの領域からDNAを別々に抽出し、マイクロアレイを用いた比較ゲノムハイブリダイゼーション法(array CGH)で解析した結果の一部です。A領域にのみ、ある遺伝子のヘテロ接合性欠失が見られました。目的とした遺伝子領域に対応する大腸菌株(BAC clone)からプローブを作製し、FISH法によりarray CGHで得られた結果の確認を行いました。